新規格DNAメチル化解析プラットフォーム「MSA(Methylation Screening Array)」を用いた日本人の生物学的年齢・バイオマーカー予測モデルに関する論文が国際学術誌「Epigenetics Reports」に掲載されました

プレスリリース

株式会社Rhelixa(本社:東京都中央区、代表取締役社長:仲木 竜、以下「当社」)の研究チームは、低コストなDNAメチル化解析プラットフォームであるMSA(Methylation Screening Array)※1を用いて、 日本人集団における生物学的年齢および血液バイオマーカーを予測するモデルを開発・検証しました。その成果をまとめた研究論文が、Taylor & Francis社が発行する国際学術誌「Epigenetics Reports」に採択・掲載されました。

【研究概要】

DNAメチル化パターンに基づき生物学的年齢を予測するモデルであるエピジェネティッククロックは、搭載CpGサイト(メチル化部位)数の多い高密度のEPICアレイを用いて開発されてきました。一方で、CpG搭載数を絞り込みコストを抑えた新規格であるMSAプラットフォームにおいては、生物学的年齢予測指標は構築されていませんでした。本研究では、MSAで測定されたDNAメチル化プロファイルから日本人集団の生物学的年齢および血液バイオマーカーを予測するモデルを構築しました。

【研究内容と成果】

  1. 1. MSAデータによる日本人の表現型年齢の正確な予測
    実際の血液データから算出した表現型年齢「Phenotypic Age」※2と、MSAデータから予測したPhenotypic Ageの間に極めて高い相関(R=0.930)が確認されました。これにより、CpGカバレッジが削減されたMSAであっても、日本人の生物学的年齢を正確に予測するために必要なメチル化情報を十分に保持していることが示されました。
図:MSAモデルによる表現型年齢の予測精度
縦軸:予測された表現型年齢、横軸:観測された表現型年齢
  • さらに予測精度を高めるため、「残差学習フレームワーク」を用いた二段階モデリングを実施しました。MSAデータから計算された既存のEPICベースモデルの推定値を組み込むことで、MSA固有のメチル化シグナルがより活用され、予測値の相関(R=0.945)と誤差がさらに改善することが確認されました。
  1. 2. 個別の血液バイオマーカー予測と性差の影響
    MSAデータより、生物学的年齢という複合的な指標だけでなく、 個別の臨床バイオマーカーを直接予測できるかどうかの検証も行いました。その結果、白血球の構成(リンパ球や好中球など)や性ホルモン(テストステロンやプロゲステロンなど)に関連するマーカーは良好な予測精度を示しました。
    また、いくつかのマーカー(DHEA-Sや遊離テストステロンなど)については、予測精度が性別によって大きく異なり、バイオマーカー予測において性差を考慮することの重要性が示唆されました。

【今後の展開】

本研究により、費用対効果の高いMSAプラットフォームにおいても、高い信頼性を示す日本人のエピジェネティックを構築できることを示しました。
この成果は、当社が提供する生物学的年齢検査「エピクロック®」や、抗老化のエビデンス構築を目的としたプラットフォームである共創プロジェクトなどの自社サービスのさらなる精度向上に直結するものです。さらに、より手軽なメチル化プロファイリングが可能になることで、ライフスタイル介入(食事・運動等)の効果測定や、大規模なコホート研究、臨床現場へのエピジェネティックバイオマーカーの実装が大きく推進されることが期待されます。

【掲載論文】

【題名】Prediction of biological age and blood biomarkers from DNA methylation profiles measured by the methylation screening array: development and validation of models on Japanese data
【著者名】Tatsuma Shoji, Yui Tomo & Ryo Nakaki
【掲載誌】Epigenetics Reports
【掲載日】2026年8月12日(オンライン公開)
【DOI】10.1080/28361512.2026.2715974
【論文URL】https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/28361512.2026.2715974

【用語補足】

*1: MSA(Methylation Screening Array)
米Illumina社の提供するDNAメチル化スクリーニングアレイ。老化や免疫機能、代謝調節などに関連する特定のCpGサイトを濃縮して搭載した上で、従来のEPICアレイ等と比較して費用対効果を高めている。


*2:Phenotypic age(表現型年齢)
複数の血液バイオマーカー(アルブミン、血糖値、C反応性タンパクなど)に基づいて算出される、死亡リスクや生物学的機能の低下を反映した複合的な臨床指標。

【本リリースに関するお問い合わせ先】

株式会社Rhelixa(レリクサ)広報
メール: press@rhelixa.com

株式会社Rhelixa (レリクサ) について

当社は、オミクス解析技術を基盤とする研究開発企業です。ゲノム・エピゲノム解析を強みに研究支援事業を展開するとともに、生物学的年齢の可視化などを通じてロンジェビティ領域の事業開発を推進しています。企業・大学・自治体との共創により研究成果の社会実装を進め、食品・美容・AI・まちづくりなど多様な分野で新たな価値創出に取り組みながら、抗老化市場の形成と発展を目指しています。