株式会社Rhelixa(本社:東京都中央区、代表取締役社長:仲木 竜)がオミクス解析を支援した山口大学との共同研究論文が、国際学術誌『International Journal of Molecular Sciences (IJMS)』に掲載されました。
【研究概要】
肝疾患と突然死には共通するリスク因子が存在し、生活習慣が両疾患の発症と進行に大きく寄与することがこれまで明らかとなっていました。特に、アルコール摂取と動脈硬化を促進する食習慣(例えば低炭水化物や高タンパク質、高脂質な食事)の組み合わせによって、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH、旧称:脂肪性脂肪肝疾患)発症時に致死性不整脈リスクが高まり、突然死が増加することが知られていました。しかし、その詳細な分子メカニズムについては不明でした。
本研究では、MASHと致死性不整脈を併発可能な複合病態モデルマウスを新規に作製し、アルコールと動脈硬化促進食の同時摂取時における種々の心血管疾患の表現型を調べました。その結果、これらの食生活がMASHに加えて左心室の間質性線維症を発症させることで、致死性不整脈リスクを増加させることを明らかにしました。
【研究内容と成果】
- 1. MASH発症に伴って致死性不整脈リスクが激増する
アルコールと動脈硬化促進食の同時摂取により、作製した病態モデルマウスにおいて肝臓での中性脂肪の蓄積や炎症・線維化関連遺伝子の発現が誘導されるとともに炎症・線維化領域が増加したことから、MASH誘導が確認されました。この条件のもとで不整脈を誘発した結果、致死性不整脈の発生率が対照群では10%台にとどまった一方、MASH発症群では100%の発生率でした。このことから、MASH発症時に突然死リスクが劇的に増加することが明らかとなりました。 - 2. MASH発症時に、交感神経の活性化を介して左心室の間質性線維症が進行する
MASH発症時に左心室でも炎症および線維化領域の増加やこれらのマーカー遺伝子の発現誘導がみられました。その背景にある分子メカニズムの解明に向け、上記と同様にMASHを誘導した病態モデルマウスの心筋に対してRNA-seq解析を行いました。その結果、交感神経活性化のマーカー遺伝子であるTHやNpyの発現が誘導されていたのに加え、細胞外マトリックス遺伝子群や線維化に関わると考えられているコラーゲン遺伝子群のGOタームが有意に濃縮されていました。また、活性化された心筋筋芽細胞と線維化促進因子TGF-β1が心筋内で共局在していました。これらのことから、交感神経活性化により活性化した心筋筋芽細胞がTGF-β1の過剰産生を促し、左心室において間質性線維症を進行させるという新たな分子メカニズムが明らかになりました。
【今後の展開】
本研究によりアルコールと動脈硬化促進食の同時摂取により、肝臓に加えて心臓でも病変が見られ、突然死リスクが激増することが明らかとなりました。今後は、RNA-seq解析により得られたMASH発症時の遺伝子発現プロファイルから鍵となるシグナル経路や重要因子を絞り込み、その経路や因子を標的とした薬物介入による治療効果を検証することで、突然死を防ぐための新たな治療法の確立につながると期待されます。また、同定された候補遺伝子群情報をもとに、早期スクリーニング法の開発や高精度なリスク予測に向けたバイオマーカーの選抜に活用できると考えられます。
【掲載論文】
【題名】Lethal Arrhythmogenic Role of Left Ventricular Myocardial Interstitial Fibrosis in Apolipoprotein E/Low-Density Lipoprotein Receptor Double-Knockout Mice with Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis
【著者名】Jinyao Liu, Yumiko Oba, Yosuke Kondo, Ryo Nakaki, Seiko Yamano
【掲載誌】International Journal of Molecular Sciences (IJMS)
【掲載日】2025年2月11日
【DOI】10.3390/ijms26010144
【本リリースに関するお問い合わせ先】
株式会社Rhelixa(レリクサ)広報
メール: press@rhelixa.com
株式会社Rhelixa (レリクサ) について
当社は、オミクス解析技術を基盤とする研究開発企業です。ゲノム・エピゲノム解析を強みに研究支援事業を展開するとともに、生物学的年齢の可視化などを通じてロンジェビティ領域の事業開発を推進しています。企業・大学・自治体との共創により研究成果の社会実装を進め、食品・美容・AI・まちづくりなど多様な分野で新たな価値創出に取り組みながら、抗老化市場の形成と発展を目指しています。
