iPS細胞由来の抗原提示細胞を用いたがん免疫療法に関する研究論文が『Molecular Therapy』に掲載

メディア

当社代表取締役社長の仲木らが共著者として参画した研究論文「IL-12-producing iPSC-derived antigen-presenting cells enhance antitumor immunity and enable off-the-shelf immunotherapy」が、米国遺伝子細胞治療学会(ASGCT)の学術誌『Molecular Therapy』にオンライン掲載されました。本研究において、当社は研究データの解析を担当しました。

研究概要

がんに反応するT細胞を働かせるには、がんの目印となる抗原をT細胞に伝える「抗原提示細胞」が重要です。一方、樹状細胞を用いたがんワクチンでは、患者さんごとの細胞の違いなどにより、臨床効果が安定しないことが課題となっています。本研究では、iPS細胞を利用し、均一な性質を持つ抗原提示細胞の基盤の構築に取り組みました。

研究内容と成果

研究グループは、マウスのiPS細胞から、免疫を活性化する因子IL-12を安定して分泌する増殖性骨髄系細胞(IL12-pMCs)を作製しました。この細胞は、抗原に反応するCD8陽性T細胞の誘導・増殖を促し、NK細胞も活性化しました。
腫瘍抗原を取り込ませた細胞をマウスに投与すると、腫瘍内のインターフェロン関連の遺伝子発現や免疫細胞の浸潤が促され、免疫を抑制する細胞集団が抑えられました。抗腫瘍効果は免疫チェックポイント阻害薬との併用でさらに高まりました。
さらに、ヒトiPS細胞でもHLAの発現を選択的に調整したIL12-pMCsを作製し、他者由来の細胞に対する免疫反応を抑えながら、抗原特異的なCD8陽性T細胞を誘導できることを示しました。

今後の展開

本研究は、あらかじめ作製した細胞を必要に応じて利用する「オフ・ザ・シェルフ型」のがん免疫療法に向けた非臨床試験の成果です。今後、ヒトでの安全性・有効性の検証を重ねることで、必要なときに利用できる新たな細胞免疫療法の実現につながることが期待されます。

論文情報

  • 掲載誌:Molecular Therapy
  • 論文タイトル:IL-12-producing iPSC-derived antigen-presenting cells enhance antitumor immunity and enable off-the-shelf immunotherapy
  • 著者:Masateru Yamamoto, Rong Zhang, Tsuyoshi Kobayashi, Yilan Li, Huaigeng Xu, Hiroaki Mashima, Keigo Saito, Masahiro Kariya, Masamichi Ide, Yuichiro Hagiya, Eri Fukuda, Sena Uemura, Yuki Osako, Ryo Nakaki, Tetsuya Nakatsura, Satoshi Fukushima, Shin Kaneko, Akitsu Hotta, Hideki Ohdan, Yasushi Uemura
  • 公開日:2026年10月16日(オンライン先行公開)
  • DOI:https://doi.org/10.1016/j.ymthe.2026.10.017
  • PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42888850/

本リリースに関するお問い合わせ先

株式会社Rhelixa(レリクサ)広報
メール: press@rhelixa.com

株式会社Rhelixa(レリクサ)について

当社は、オミクス解析技術を基盤とする研究開発企業です。ゲノム・エピゲノム解析を強みに研究支援事業を展開するとともに、生物学的年齢の可視化などを通じてロンジェビティ領域の事業開発を推進しています。企業・大学・自治体との共創により研究成果の社会実装を進め、食品・美容・AI・まちづくりなど多様な分野で新たな価値創出に取り組みながら、抗老化市場の形成と発展を目指しています。