[エピゲノム入門]2-3. どの細胞も同じDNAを持っている

この節から学ぶこと

  • どの細胞にもすべて共通のDNAが含まれている
  • 遺伝子の使い分けに関する情報がエピゲノム

どの細胞のDNAもすべて同一

前の節では、遺伝子とゲノムの違いについて解説しました。

【DNAはどの細胞でも同一】

ここで、重要なことを覚えておく必要があります。 それは、一人のヒト・一匹の動物・一本の植物など一つの個体では、どの細胞にもまったく同一のDNAが入っているということです。つまり、まったく同じゲノムが含まれています。 例えば、筋肉の細胞・神経の細胞・皮膚の細胞では、見た目も機能も全く違いますが、その中にある遺伝子はすべて共通しているということです。

【細胞の種類ごとに使うタンパク質は違う】

細胞は種類によって働きが異なり、その働きのために必要な機能をもつタンパク質を使います。ですから、それぞれの細胞が作り出すタンパク質は、細胞の種類ごとに別なものということになります。 例えば、筋肉細胞は「アクチン」と「ミオシン」という2種類のタンパク質を作り出しますが、「ヘモグロビン」というタンパク質は作りません。もし、筋肉細胞ではヘモグロビンがあっても意味がなく、もしあったら害を及ぼしてしまうかもしれません。 しかし、筋肉細胞のDNAは赤血球のDNAとまったく同一であって、筋肉細胞はヘモグロビンを作るための遺伝子も、そのDNAの中に持ち続けているのです。

遺伝子の使い分け

【細胞の種類によって使う遺伝子が違う】

筋肉・神経・皮膚・・・、身体のどの細胞も同じDNAをもっています。 同じDNAをもっているということは、どの細胞もすべてのタンパク質のための遺伝子をもっているはずです。それなのに、筋肉・神経・皮膚の細胞が作り出すタンパク質は、それぞれの細胞に必要な異なるタンパク質です。

これは、逆に言うと、筋肉細胞では 「アクチン」と「ミオシン」を作るための遺伝子は働くが、「ヘモグロビン」を作るための遺伝子は働かないということです。つまり、ひとつの細胞の中で、ある遺伝子は働かせある遺伝子は働かせないという「遺伝子の使い分け」が行われているということなのです。

その「遺伝子の使い分け」に関する情報がエピゲノムです。エピゲノムを知ることで遺伝子の使い方、 つまり細胞の中で何が起きているのかが理解できるようになるのです。

使われる遺伝子と使われない遺伝子

細胞の分化を生み出すエピゲノム

【ひとつの細胞から細胞分裂して身体をつくる】

さまざまな細胞の形や機能、そして細胞内のタンパク質の種類の違いを作り出しているものは何でしょうか。 それを知るために、一度細胞の歴史を巻き戻してみましょう。生物の最初は、精子が卵子に受精してできたたったひとつの細胞です。それが分裂を繰り返し、生物の身体を作り上げます。

 【細胞の分化】

その細胞分裂の繰り返しの途中で、ある細胞は筋肉になり、ある細胞は神経になり、ある細胞は赤血球になるという様に、変化が起こります。この変化を「分化」といいます。そして、その分化した細胞が細胞分裂して増えてゆくことで、筋肉組織や神経組織が生み出されるわけです。

【細胞の分化はエピゲノム】

例えば、「筋肉細胞に分化する」ということは、筋肉細胞に特有のタンパク質が作られるようになるということです。そして、その結果、筋肉細胞の形や機能をもつ様になります。 つまり、分化するということは、その細胞に必要な遺伝子が働くように変化するということです。遺伝子自体は変化しませんが、必要な遺伝子のみが働くようになる「遺伝子の使い分け」が発生するのです。この使い分けの仕組みがエピゲノムです。

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