[エピゲノム入門]2-4. DNAの形状

この節から学ぶこと

    • 塩基の並び順は「塩基配列」とよぶ
    • DNAはヒストンというタンパク質に巻きついている
    • その巻きつき具合を調べるのがエピゲノムの一つ

今までのおさらい

「染色体・DNA・塩基・遺伝子・ゲノム」では、次のように解説しました。
  • 染色体: 顕微鏡で見える。DNAが巻かれて折りたたまれて形作られているもの。
  • DNA : 2重らせんの間に塩基が並んだもの(塩基配列)
  • 塩基: A・T・G・Cの4種類がある。
  • 遺伝子: タンパク質を作るときのアミノ酸の順序を指定する情報。DNAの塩基の並び方で表されている。
  • ゲノム: ある細胞のDNAすべての情報。塩基の並び方で表されている。
この節では、DNAの構造を塩基・ヒストン・クロマチンから説明します。

塩基配列とヒストン

【塩基配列】

これまで「塩基の並び順」と書いていたことは、専門用語では「塩基配列」といいます。今後も頻繁に出てくる重要な単語なので、これを機に覚えておきましょう。 塩基には、A・T・G・Cの4種類があります。A・T・G・Cは、それぞれの塩基の正式名称であるアデニン(Adenine)、チミン(Thymine)、グアニン(Guanine)、シトシン(Cytosine)の頭文字を取ったものです。 タンパク質の設計図は、塩基配列によって表されています。 受精時や細胞分裂時のコピーミス、放射線の影響などで、塩基が別の塩基に変わってしまうことがあります。 たった1つの塩基が別の塩基に変わるだけで、その遺伝子からできたタンパク質が機能しなくなる場合もあります。

 【ヒストン】

ヒストンとは、DNAを巻き取っているタンパク質の名前です。やや潰れた円柱のような形をしています。 ヒストンの側面にDNAの147塩基分の長さが約1.65周ほど巻きついています。その巻きつき方には、ゆるい巻きつき方ときつい巻きつき方があります。

【クロマチン】

ヒストンにDNAが巻きついた状態のものを「ヌクレオソーム」といいます。 ヌクレオソームが数珠のように並んでいる状態を「クロマチン」と呼びます。 クロマチンがさらに集まったものが、細胞の核の中で「染色体」としてよばれているものです。

【オープン・クロマチンとクローズド・クロマチン】

クロマチンは、ヌクレオソームの間隔がつまっているクローズド・クロマチン状態と、間隔が開いているオープン・クロマチン状態の2つの状態があります。 クローズド・クロマチン状態では、DNAのほとんどの部分はヒストンに巻き付いています。オープン・クロマチン状態では、DNAはヒストンに巻き付いておらず、裸の状態です。 DNAのある部分はクローズド・クロマチン状態で、ある部分はオープン・クロマチン状態、というようになっています。

ヒストンとクロマチンはエピゲノムの本質の一つ

【DNAを折りたたむ仕組み】

クロマチンやヒストンが発見されたとき、その仕組みはDNAをコンパクトに折りたたむためであると考えられました。ヒトのDNAの長さは44本を合わせると2メートルにもなり、それを目に見えない程に小さな細胞の核の中に入れておくための折りたたむ仕組みというわけです。 この考えは実際に正しいのですが、研究が進むにつれて、クロマチンやヒストンがエピゲノムで重要や役割を果たしていることがわかってきました。

【オープン・クロマチン状態】

細胞の中であるタンパク質が必要で作りたいときには、そのタンパク質に対応する遺伝子の部分のDNAの塩基配列を読み取る必要があります。 このとき、DNAがヒストンに巻きついたままでは、塩基配列が読み取れないのです。つまり、DNAの読み取りたい部分がオープン・クロマチン状態になっている必要があるのです。 この性質を利用して、遺伝子を使う・使わないの切り替えを行っています。使う遺伝子はDNAの部分をヒストンから離してオープン・クロマチン状態にしておき、使わない遺伝子はDNAのその部分をヒストンに巻きつけておく、ということです。 ヒストンが数珠つなぎになっているクロマチンがどの程度ほどけているかということが、遺伝子の使い方と密接に関係する情報であり、エピゲノムの本質の一つとなっています。次章で解説します。

つまり、塩基配列を読み取らないところは普段DNAをヒストンに巻きつけておいてタンパク質が作られないようにしておき、必要なタンパク質に対応するDNAだけをヒストンから離して塩基配列を読み取れる状態にしておく、という切り替えを行なっているのです。

ヒストンや、ヒストンが集まってできたクロマチンがどの程度ほどけているかということが、遺伝子の使い方と密接に関係する情報であり、まさにエピゲノムの本質の一つとなります。

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