[エピゲノム入門]2-1. 細胞の機能

この節から学ぶこと

  • 細胞にはさまざまな種類があり、働きが異なる。
  • 細胞は、タンパク質がもつ機能を使って働いている。
  • タンパク質には種類ごとにさまざまな機能があり、身体の中で働く。
  • タンパク質は、遺伝子の中にある情報(設計図)にしたがって組み立てられる。

細胞にはさまざまな形と機能がある

エピゲノムの重要性を知る第一歩は、舞台となる細胞について知ることです。 細胞が集まることで、生物の体がつくられています。人間だけでなく、他の動物も昆虫も、あるいは植物も、さらには目に見えない細菌もすべて細胞からできています。 細胞の働きは大きく分けて、

    1. 細胞分裂して増える
    2. 身体のために働く(機能する)

がありますが、このエピゲノム入門では、主に②機能する、に焦点をあてて説明します。 細胞の形と機能はさまざまです。人間の場合、細胞は約200種類あると考えられています。

【筋肉の細胞】

筋肉にある細胞は、伸び縮みしやすいように、細長い形となっています。 「筋肉を収縮させる」という信号を受け取ると、細胞全体としての長さが短くなるという機能があります。

【神経の細胞】

神経細胞は細長い形をしていて、長いものでは一つの細胞で70センチ近い長さがあります。神経細胞は信号を伝えるために、その端から端まで電気が流れます。そして、その信号を隣の神経細胞に伝えるために細胞の端で「神経伝達物質」というものを細胞の外に放出します。隣の神経細胞はそれをキャッチすることで信号を受け取り、電気に変換します。

【赤血球の細胞】

人間の体には約37兆個の細胞がありますが、そのうち約3分の2は赤血球です。血液の中で酸素を運ぶ赤血球は、狭い血管の中でも通れるように、中央が窪んだ形をしています。赤血球の役目は全身に酸素を運ぶことですが、そのために、酸素をつかみ必要な場所で放すという機能があります。 また、食べ物にある栄養を吸収する小腸の細胞は、表面が凸凹になっていて、突き出ているところや谷間となっているところから栄養素を細胞の中に取り込みます。 他にも、特殊な構造をした細胞があります。血液の中で酸素を運ぶ赤血球は、狭い血管の中でも通れるように、中央が窪んだ形をしています。精子は、卵子に向かって突き進むことを最優先とするため、先端が尖っており、前に進むために尻尾のようなものが生えています。 このように、細胞の形と機能はさまざまです。人間の場合、細胞の種類は千差万別とまではいきませんが、約200種類あると考えられています。

神経細胞
筋肉細胞
赤血球細胞

細胞はタンパク質を使って機能する

このように細胞は、種類によってさまざまな「機能」を発揮しています。 これらの細胞は、「どのようにして」機能を発揮するのでしょうか。機能を発揮するために、細胞は「タンパク質」を使っているのです。

【タンパク質とは】

タンパク質は、いろいろな種類のアミノ酸が数多く鎖状につながったものです。 どのようなアミノ酸がどのようにつながってるかによって、数多くの種類(数万種類)があります。そして、タンパク質の種類ごとに「機能」があり、細胞の内側や外側で化学的操作や物理的動作を行っているのです。言わば、タンパク質は体の中で働く「能動部品」のようなものです。

【タンパク質の機能の例】

タンパク質の機能について、例を見てみましょう。 筋肉の細胞の中では、「アクチン」と「ミオシン」という2種類のタンパク質があります。どちらも糸のような形をしていて、細胞の中で入れ子状になった構造をしています。 「筋肉を収縮させる」という信号を受け取ると、アクチンがミオシンの間に滑り込むように移動します。これによって細胞全体としての長さが短くなり、その結果筋肉が収縮します。 つまり、筋肉細胞はこの2種類のタンパク質の機能を使って仕事をしているのです。

筋肉細胞の中のタンパク質

神経の細胞は、信号を隣の細胞へ伝えるために、その端で神経伝達物質というものを放出します。そのために、神経細胞の端には神経伝達物質を作るタンパク質があります。同様に、神経伝達物質を隣の神経細胞から受け取るためのタンパク質もあります。神経伝達物質を受け取るためのタンパク質は、細胞の表面から外へ突き出ています。
神経細胞も、この2種類のタンパク質の機能を使って仕事をしているのです。

隣り合う神経細胞の間の信号伝達

赤血球の細胞の役割は全身に酸素を運ぶことです。人間の体には約37兆個の細胞がありますが、そのうち約3分の2は赤血球です。
赤血球の中にある「ヘモグロビン」というタンパク質は、酸素をつかみ必要な場所で放すという機能があります。
赤血球は、このタンパク質を使って、酸素を運んでいるのです。
また、消化や分解などの化学作用をするさまざまな「酵素」も、タンパク質の一種です。
ここまでで重要なことは、「細胞の種類ごとに、利用するタンパク質の種類は異なる」ということです。
筋肉の細胞にヘモグロビンはなく、赤血球の中には神経伝達物質を作るタンパク質はありません。細胞の働きに必要なタンパク質が機能しているのです。

タンパク質はどのように作られるのか

【タンパク質の生成】

細胞の「機能」はタンパク質によるものだとわかりました。では、そのように重要な物質であるタンパク質は、どのように作られるのでしょうか。
タンパク質は、いろいろな種類のアミノ酸が数多くつながったものです。
アミノ酸は20種類あり、それが数十個から1万個以上がつながってタンパク質になります。どのアミノ酸をどの順番でつなげるかによって、タンパク質の種類が決まります。タンパク質の種類は数万種類にもなります。

タンパク質はさまざまなアミノ酸がつながったもの

これらのタンパク質は、細胞の中で組み立てられます。細胞の中には、タンパク質を作るための部品である20種類のアミノ酸が必要なだけ用意されています。
この20種類のアミノ酸をひとつずつ順番につないでゆく作業は、その機能をもったいくつかの専用のタンパク質が共同作業で行います。ここでも、「機能」をもって働いているのはタンパク質なのです。
さて、アミノ酸をつないでゆくわけですが、アミノ酸をどの順番でつなぐかはどうやって決めてるのでしょうか? 正しい順番でつないでゆかなければいけませんが、アミノ酸をつなぐ担当のタンパク質がその順番を知っているわけではありません。
その順番の情報は、細胞の中にある遺伝子が持っているのです。アミノ酸をつなぐ担当のタンパク質は、遺伝子の情報に従ってアミノ酸を順番につないで目的のタンパク質を作っているのです。逆に言えば、ある遺伝子の情報が生成担当のタンパク質に届くと、その遺伝子に対応するタンパク質が作られるのです。

細胞の機能のまとめ

  • 細胞にはさまざまな種類があり、働きが異なる。
  • 細胞は、さまざまなタンパク質がもつ機能を使って働いている。
  • タンパク質には種類ごとにさまざまな「機能」があり、身体の中で働く。
  • タンパク質は、遺伝子の中にある情報(設計図)にしたがって組み立てられる。

では、細胞の分化を引き起こしているものは何でしょうか。それが「遺伝子」です。次の記事では、遺伝子について解説します。

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