[エピゲノム入門]4-2. エピジェネティクスの機序

このページから学ぶこと

・アセチル化とメチル化という言葉を理解する

・ヒストンにおけるエピゲノムの表記ルールを理解する

・DNAでメチル化が起きる場所には特徴がある

エピゲノムで頻出単語のアセチル化とメチル化

前回の記事「エピゲノムの概要」では、基礎研究や疾患と関係するエピゲノム、そしてエピゲノム研究が産業応用につながる可能性があることを紹介しました。

今回の記事では、エピゲノムがどのような原理で起きているのか、ということについて解説します。原理を知ることで、どのように調べればいいのか、調べた結果をどのように解釈すればいいのかという解析方法の理解が深まります。

エピゲノムに関連する言葉で頻繁に出てくるのが、アセチル化とメチル化という言葉です。それぞれ、アセチル基(-CH3CO)、メチル基(-CH3)という原子のひと集まりがタンパク質などに結合することを言います。これらがエピゲノムや遺伝子発現にどう関係するのか、以前の記事でも紹介しましたが改めて解説します。

参考記事:3-2クロマチン構造の変化とRNA合成

ヒストンにおけるアセチル化とメチル化の表記ルール

アセチル化やメチル化が起きる場所は、大きく分けて2箇所あります。ひとつは、DNAが巻きついているヒストンというタンパク質です。

ヒストンは正確には、H2A、H2B、H3、H4という4種類のタンパク質が2個ずつ集まってできたものです。それぞれのヒストンは「ヒストンテール」という紐のようなものが生えており、ヒストンテールのどこがアセチル化、メチル化されるか決まっています。

どこかアセチル化、メチル化されるかという場所は、「H3K9ac」、「H4K20me」のように書きます。それぞれ、次の意味になります。

H3K9ac:ヒストンH3の端から9番目のアミノ酸K(リシン)にアセチル基(ac)が結合している

H4K20me:ヒストンH4の端から20番目のアミノ酸K(リシン)にメチル基(me)が結合している

ヒストンなどのタンパク質は、アミノ酸という小さな分子が数珠のようにつながってできています。そのため、ヒストンに関するエピゲノムでは、「端から何番目のアミノ酸が何と結合しているか」と書きます。

ヒストンのアセチル化は、遺伝子発現を促す、つまりRNAが合成されやすくなるようにはたらきます。一方で、メチル化は場所によって遺伝子発現を抑える場合と促すい場合に分かれます。例に挙げたH4K20meは転写を抑えますが、H3K4me(ヒストンH3の端から20番目のアミノ酸Kにメチル基が結合している)では転写を促します。

なお、H3K9acとH3K9meのように、同じ場所でアセチル基とメチル基が結合する場合もあります(両方同時に結合することはなく、どちらか片方のみ結合します)。

アセチル基やメチル基以外にも、リン酸基(ph)やユビキチン(ub)が結合することがあり、エピゲノムの解析対象となっています。ヒストンにおけるアセチル基などの結合は「ヒストン修飾」といいます。

DNAにおけるメチル化の特徴

メチル基については、DNAにも結合して転写のコントロールに関わります。エピゲノム分野でよく出てくるのは、シトシンとグアニンが隣り合う配列(CG)が高頻度に見られるところのCのメチル化です。DNAメチル化は転写を抑制します。

CGが集中して多くDNA領域を「CpGアイランド」といいます。すべてのCpGアイランドの数十%はメチル化されると推定されています。

がん細胞では、がんと関係する遺伝子のプロモーターなどで高頻度にメチル化が起きており、遺伝子の発現が抑制されています。これを利用して、がんの診断の目印にしたり、再発の予測に活用したりしようとする研究もあります。

ある遺伝子のDNAメチル化を調べることで、その遺伝子がどの程度発現しやすいか推定することができます。サプリメントや薬など、ある機能性成分が遺伝子発現にどのように影響を与えるかを調べる上で重要な情報になります。

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