[エピゲノム入門]2-3. どの細胞も同じDNAを持っている

このページから学ぶこと

・どの細胞にもすべて共通のDNAが含まれている

・同じDNAをもっているからiPS細胞を作ることができる

・遺伝子の使い分けに関する情報がエピゲノム

 どの細胞にもすべて共通のDNAが含まれている

前回の記事では、遺伝子とゲノムの違いについて解説しました。実はここで、重要なことを覚えておく必要があります。

それは、どの細胞にも同じDNAが入っており、つまり同じゲノムが含まれている、そのため同じ遺伝子をすべて持っているということです。

例えば、筋肉の細胞と神経の細胞、皮膚の細胞とでは、見た目も機能も全く違いますが、その中にある遺伝子はすべて共通しているということです。

以前の記事「細胞の機能」では、受精卵から機能が異なる細胞にグループ分けされることを「分化」と呼ぶことを紹介しました。このとき、神経になる細胞では、神経になるために必要な細胞の中にある遺伝子からタンパク質が作られます。

では、神経に不要な遺伝子はどうなるのでしょうか。不要であれば、もっていても仕方がないので細胞の外に捨ててもいいように思えます。もし、神経の細胞で筋肉に関係するタンパク質があっても意味がなく、神経細胞の中で悪さをしてしまうかもしれません。神経細胞が突然筋肉に変わってしまったら大変です。

しかし実際には、遺伝子を捨てるのではなく、そのまま持ち続けています。

これを利用して作り出すのが「iPS細胞」です。iPS細胞の作り方に注目すると、遺伝子の使い分けに関する情報であるエピゲノムの重要性がより理解できるようになります。

同じ遺伝子をもっているからIPS細胞を作ることができる

ここで、iPS細胞について簡単に紹介します。

iPS細胞は、京都大学の山中伸弥教授たちのグループが世界で初めて作り出すことに成功した細胞で、筋肉、神経、皮膚など、体を構成するさまざまな種類の細胞に変化(分化)できる性質をもっています。臨床研究として再生医療への応用が始まりつつあり、また実験室で薬の効果を確かめる創薬分野でも使われています。この功績が称えられ、山中教授は2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

このiPS細胞の作り方には、遺伝子の使い分けが大きく関わっています。

受精卵のときには、様々な種類の細胞に分化できるよう専用の遺伝子からタンパク質が作られています。しかし、筋肉や神経や皮膚になると、これらの遺伝子からタンパク質が作られないようにコントロールされています。

そこで細胞の外から、それら専用の遺伝子を入れ込んで強制的にタンパク質を作らせることで、受精卵に近い状態に戻そうと考えて作られたのがiPS細胞です。

iPS細胞は、皮膚や、血液の中にある細胞から作ることができます。そのiPS細胞から、筋肉、神経、皮膚などいろいろな種類の細胞に分化できるということは、皮膚から作られたiPS細胞にも筋肉や神経に必要な遺伝子がすべて含まれているということを意味します。

遺伝子だけでなく、遺伝子の使い分けも大事

前回の記事で、ゲノムとは「すべての遺伝情報」と解説しました。筋肉・神経・皮膚のどの細胞も同じゲノムをもっています。しかし、ゲノムが同じなのに筋肉・神経・皮膚の細胞は異なったものです。

ということは、ある細胞の状態を知りたいと思ったとき、ゲノムを見ただけではわからないことを意味します。細胞の状態を知りたければ、どの遺伝子からどれくらいタンパク質が作られているのかを知る必要があります。

さて、すべての遺伝子が細胞の中にあるということは、どの遺伝子からも自由勝手にタンパク質が作られてしまっては困ります。そこで、この遺伝子からはタンパク質は作られてもいい、別のこの遺伝子からはタンパク質が作られるのは防ぐというように、「遺伝子の使い分け」をしています。

その「遺伝子の使い分け」に関する情報がエピゲノムであり、エピゲノムを知ることで遺伝子の使い方、つまり細胞の中で何が起きているのかが理解できるようになるのです。

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