[エピゲノム入門]1-1. なぜエピゲノムを知ることが重要なのか

エピゲノムとは「遺伝子の使い分け」

Rhelixaはエピゲノム解析のリーディングカンパニーです。しかし、「エピゲノム」とは一体何なのでしょうか。

エピゲノムとは、わかりやすく言えば「どの遺伝子を使い、どの遺伝子を使わないかを決めるスイッチ」です。

遺伝子とは何かについては後で詳しく紹介します。まずは、「使う遺伝子」と「使わない遺伝子」があることを知っておいてください。

例えば、私たち人間は、約2万種類の遺伝子をもっています。食べ物を分解するための遺伝子もあれば、コラーゲンを作るための遺伝子もあれば、筋肉を作るための遺伝子もあれば、病気と関係する遺伝子もあります。

しかし、約2万種類の遺伝子の全部がいつも使われているわけではありません。例えば、筋肉では、筋肉を作るための遺伝子や、脳から「筋肉を動かせ」という命令を受け取るための遺伝子は必要ですが、食べ物を分解するための遺伝子は必要ありません。実際、筋肉で使われている遺伝子は、約2万種類の遺伝子のうち20%程度と推定されています。

つまり、生物がどうやって生きているかを知るためには、「どんな遺伝子があるのか」を知るだけでなく、「遺伝子をどう使い分けているか」も知る必要があるのです。

この「遺伝子の使い分け」がエピゲノムの機能です。

エピゲノムに注目が集まっている

エピゲノム、言い換えれば「遺伝子の使い分け」がわかると、どのような恩恵があるのでしょうか。それは、細胞の中で何が起きているのかを本当に理解することで、さまざまな産業に応用できる可能性が広がることです。

現在エピゲノムが最も注目されている分野は病気で、がん・糖尿病などがあります。

【がん】

がんは、遺伝子に異常が起きることで細胞が増え続けてしまう病気です。

遺伝子に異常が起きる原因には、有害な化学物質、紫外線などがありますが、実はがん細胞ではエピゲノムの変化、つまり遺伝子の使い方にも異常が起きていることがわかってきました。遺伝子そのものの異常と、遺伝子の使い方の異常の両方が細胞をがん化させ、さらにがんの悪化を引き起こしていると考えられています。

そこで、エピゲノムを変える薬、つまり遺伝子の使い方を変えてがんを治す薬の研究が進められています。今までの薬とは違う方法でがんを治すため、画期的な治療薬となる可能性を秘めており、製薬企業やベンチャー企業が開発に乗り出しています。

【糖尿病】

生活習慣病の一つである糖尿病も、エピゲノムが関係しています。

現在の食事習慣だけでなく、過去の食事習慣さらには生まれる前の胎児の段階における母親の食事習慣が、遺伝子の使い方に深く関係しているといわれています。このように、糖尿病の発症関係する過去の生活スタイル(生まれる前を含む)は「メタボリックメモリー」と呼ばれています。

最近では、メタボリックメモリーにエピゲノムが関係しており、妊娠時に十分な食事をとらなかったり、過度なダイエットをしたりすると、赤ちゃんの段階からエピゲノムが変化し、将来糖尿病になるリスクが高くなると懸念されています。

エピゲノムを知ることで、将来の糖尿病リスクがわかり、予防に役立てることができるかもしれません。

【その他】

他にも、高血圧・花粉症・うつ病にもエピゲノムの変化が関わっているのではないかと考えられており、研究が進められています。エピゲノムを変える薬を作ることができれば、これらの病気の新しい治療薬になる可能性があります。

また、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品など、食品に含まれる機能性成分がエピゲノムにどう影響を与えるのかということがわかれば、より説得力をもって商品をアピールできるようになります。

エピゲノムは人間だけでなく、他の動物や植物にもあります。例えば将来的には、農作物のエピゲノムを調べることで、効率のよい農業につながるかもしれません。

 

エピゲノムを知ろう

エピゲノムを調べることで、今までにない薬や検査方法の開発、食品に含まれる機能性成分の発見につながる可能性があります。学術研究に役立つことはもちろんのこと、新たな産業応用につながると期待されています。

しかしそのためには、遺伝子や細胞に関する知識をもつ必要があります。知識をもってはじめて、エピゲノムの重要性を実感できるのです。

このコーナーでは、細胞や遺伝子とは何かという基礎的なことから、エピゲノムの本質である「遺伝子の使い分け」について解説します。

 

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